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 写真作品に使用する手漉き和紙を探しに越前の工房を訪れたときに、日本の越前で1500年前から伝えられてきた和紙作りの技を守る人と、使い込まれた道具に出会いました。

 材料となる樹木の枝を煮てその樹皮から繊維をとりだし、さらに手作業で黒い樹皮片などの塵(チリ)を根気よく取り除いて不純物の無い材料を作り、そしてその材料を1枚1枚丁寧に紙にしていきます。1500年前からの技術を毎日繰り返し、伝統的な和紙作りの技法を守る若い職人の後姿に、過去から現在、そして未来への確かな繋がりを感じることが出来ました。

そして、使い込まれた道具からは、和紙作りの伝統技術を守り、さらに次世代へ伝えていくという人々の硬い意志を感じることが出来ました。この経験が、重要なヒントとなり、私の作品が生まれました。

   被写体は、人の意志により守り継がれてきた人工物と自然です。人々に長く使われた道具や建物などの人工物や昔から人々に大切に守られてきた桜や自然景観には、それらを守り、後世へ伝えようとする多くの人々の意志が宿っているように感じます。

 

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